フロアコーティングの中でも一般的な「ウレタンコーティング」の性能やメリット・デメリットをまとめました。
ウレタンコーティングは20年以上前からある施工法で、マンションなどに多く用いられている近代コーティングの中でもポピュラーな塗料です。
塗料には油性と水性があり、以前は油性のタイプが主流でしたが、環境や人体に及ぼす恐れもあるため、最近では匂いの少ない水性タイプが多く使われています。
コスト的に割安なので予算をかけたくない方や、数年くらい効果があればいいという方にピッタリ。
特に、耐摩擦性に優れているため、擦り傷に強いのが特徴です。
ウレタンコーティングは匂いの少ないタイプ、床暖房に対応するタイプなど、性能の異なるさまざまな種類があります。
施工業者を選ぶ時はサンプルを取り寄せ、比較してみることをおすすめします。
ウレタンコーティングでは、艶ありのグロス・半艶消しのセミグロス・艶消しのマットと艶出し具合のコントロールが可能で、ほとんどの床材に対応できます。
基本的にフロアコーティングをすると床状態がそのまま反映されますが、艶のないウレタン塗料なら擦り傷や凹みが目立つ床でもキレイな仕上がりになります。またガラスやUVコーティングよりも質感が柔らかく、部屋の中に癒しのある温もりが広がります。
ウレタンコーティングは陸上競技用トラックに施工されている緩衝材で、運動靴やマットレスなどでもお馴染みの素材です。
フロアコートとして利用する場合、クッション効果で足腰へのダメージを軽減します。高齢者や小さな子供も歩きやすくなって安全です。また柔軟性があるためコーティング面のヒビ割れも生じ難いとされています。
水性ウレタンコーティングの塗料は揮発性の強い石油系有機溶剤が使用されていないので、シンナーのような刺激臭もワックス系の油っぽい悪臭も心配ありません。
施工後の床はほぼ無臭で、快適な生活環境になります。ただし油性ウレタンは多くの溶剤が使われていて、強い溶剤臭が出やすく、施工中はもちろん、乾燥するまで無人状態にする必要がります。
ウレタン塗料は塗膜の厚いフロアコーティングで、しかも重ね塗りが可能です。フロアコーティングの種類には、重ね塗りの時に塗膜の作用が強く出てしまって塗りムラが生じてしまう場合がありますが、ウレタンでは溶剤などの工夫で無理なく仕上げを厚くすることができるのです。
また表面に傷があるとか凸凹が目立つ床でも、しっかりとフラットな塗膜形成をしてくれます。ウレタンコートは3年前後の耐久性とされていますが、ウレタンの濃さ・厚さによっては5年ほど持つ場合もあります。
ウレタン素材は生成法によって硬度を高める事ができますが、基本的にUVコーティングやガラスコーティングのような塗膜硬度が出ません。ですが住宅の床コーティングとしては充分な耐摩耗性を発揮します。
これにより傷や擦れによる損傷から床材を守り、経年劣化を防いでくれます。また水性ウレタンコーティングでも水拭きや軽い水洗いができますから日常の手入れが楽ですし、水洗いしてもウレタン塗料が溶けることがないので、人にも環境にも優しいのです。[注1]
複数のフロアコーティングが提供されていますが、新築マンションのオプションコーティングとして殆どウレタンコーディングが利用されています。その理由はコスパに優れているからです。
大よその料金相場を言いますと、30平方メートルを基準とした料金が、UVコーティング・ガラスコーティングなら10〜20万円掛かります。
またシリコンコーティングで10~15万円ですが、ウレタンコーティングは5万円からでも発注できるリーズナブルさがあります。ただし、安かろう・悪かろうにならないように注意しなければなりません。
ウレタンコーティングは、他のフロアコーティングのように5~20年の耐久年数はありませんが、良い水性塗料ならば3年前後は持つとされています。
ちなみにワックスは半年から1年で塗り直しが必要ですから、充分長持ちだと言えます。また掃除も簡単で、掃除機を掛けたら、さっと乾拭きするだけでキレイになります。
ただし耐薬性が弱めで、アルコールや強い洗剤によってダメージを受けることもあります。
近年では、VOC(揮発性有機化合物)対策が注目されています。
人体に有害なトルエン・キシレン・酢酸エチルなどを溶剤や、「生殖毒性」を持つ『N-メチル-ピロリドン・NMP』を含んだ製品は有毒となりますが、VOCやNMP含有率が5%以下の水性ウレタンコーティング材であれば安全性に配慮されておりいる、人体にも環境にもやさしい塗料だと言えます。[注2]
フロアコーティングの中でも耐久年数が短いとされる水性ウレタンコーティング。
ウレタン塗料は短いスパンで塗り直しが必要となり、それだけランニングコストが掛かります。
ですが塗料の種類やグレードによっては5年間の耐用年数を発揮しますので、料金と仕上がり・耐用年数を比較して選ぶと良いでしょう。
ウレタンコーティングの場合、下地との密着不良のリスクがあります。特にワックス処理をしてあった床では、ワックスを完全に落としてサンディング(表面の粗削り)をしないと成功後に剥離する心配があるのです。
そこで正規のフロアコーティング業者では、事前に密着テストをするのがセオリーです。
水性ウレタンコーティングはフロアコーティングの中でも表面が傷がつきやすいとされていて、特に水性ウレタンは界面活性力の強い洗剤等、薬品に対しての耐薬性が弱い傾向があります。
場合によってはコーティングに変色やゆがみが出ることもあります。
ガラスやシリコンによるコーティングよりも撥水性が弱いので、掃除の時はなるべく乾拭きを主体で行うと良いでしょう。
また濡れたモップで拭き掃除をする場合でも、掃除後に床面が乾きやすいように風通しを良くしておくのもポイントです。
ウレタンコーティングは乾燥時間が長くなります。ちなみにワックスなら1時間も立たずに塗布後乾燥しますが、溶剤が多い油性ウレタン塗装は2~3日間も乾燥養生期間が必要なのです。
その間は歩行禁止にするのが普通です。ただし、水性ウレタン塗料の場合はもっと乾燥養生期間が短くなります。
油性ウレタンコーティングが完全硬化するには、通気性の不十分な場所だと1ヶ月近くかかる場合があります。その間はキズや汚れなど、コーティング表面の劣化が起こり易く、生活面でのデメリットとなります。
ウレタンコーティングはUVコーティングに比べると耐久年数が短いものの、中期的なフロアの保護には向いています。
価格重視で選ぶなら十分に満足できるはずです。
水性ウレタン塗料に適している床の条件は以下の通りです。
ウレタンコーティングは床や外壁や屋上の条件によって適・不適がありますので、効果的に使い分けをするようにおすすめします。
[注1]参照元:日華化学株式会社:人と環境に優しい水系ウレタン樹脂